トイザらスやホームセンターのおもちゃコーナーに、専用のコーナーが常設されている所もあるSTEAM教育。
SNSでも最近話題なので目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
STEAM教育とは日本で現在、文部科学省、経産省が推進している教育理念で、もともと2000年代にアメリカで提唱された教育戦略です。
2020年から小学校でも導入されたプログラミング教育もSTEAM教育の一つです。
目にしたことはあっても実際にどんな教育なのか、STEAM教育を始めたらどんなメリットがあるのか良く知らない方も多いのではないでしょうか。
筆者も最初は難しそう…と思い敬遠していたのですが、理解していくうちに子どもの将来的に絶対に役に立つ!かつ面白そう!と夢中になってしまいました。
幼児期から始めると成長してからは身に着けることが難しい探究心が育まれ、その後のSTEAM教育の土台となってくれるのです。
この記事では、STEAM教育は何かをわかりやすく解説していきます。
幼児期から始めるメリットと、お家で簡単に出来る取り入れ方もご紹介します。
- STEAM教育って何か良く知らない…
- STEAM教育は幼児から始めるとどんなメリットがあるの?
- 何から始めればいいかわからない
STEAM教育は子どものワクワクを大切にする学び
STEAM教育は実社会や体験の中で、自らさまざまな課題を見つけ解決し、新しい価値を創造していく力を身につける学びです。
自ら課題を見つけるには探求心が大切になります。
子供は遊びの中からワクワク(好奇心)を見つけることで、探求心が育まれるのです。
STEAM教育とは?
STEAM教育のSTEAMは「スティーム」と読み、5つの分野の教科の頭文字からとっています。
5つの教科とは、Science(科学)、Technology(工学)、Engineering(技術)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)です。
Science(サイエンス)…科学
Technology(テクノロジー)…工学、もの作り
Engineering(エンジニアリング)…技術
Arts(アート)…芸術、リベラルアーツ、文化、政治、経済、生活など
Mathematics(マスマティクス)…数学
以前から理系の人材を育成する「STEM教育」がありましたが、STEM教育に「A」の分野を加えたものがSTEAM教育です。
STEAMの「A」はArts以外に、「Liberal Arts」(リベラルアーツ)美術、音楽、文学、歴史などを含む文科の意味合いもあります。
この5つの教科での学習を実社会での課題発見・解決にいかしていくための教科横断的な学びとされています。
教科横断的って?
教科の枠を越えて総合的に学ぼうってことだよ
たとえば、シャボン玉の絵を描くことは美術になりますが、シャボン玉液を作るためにシャボン玉液の濃度を調整するためには数学が必要になります。
STEAM教育の目的は?
AIやIotなどのテクノロジーが急速に進化しているこれからの時代に活躍できる人材を育てるためです。
最近では会話型AIの「ChatGPT」が話題ですが日本では10年後以降、全体の仕事の49%をAIやロボットが担うといわれています。
これからはAIやロボットを使いこなし、新たなテクノロジーやものを作り出す力がある人材が求められています。
人間の仕事が減っていくということ?
そうだね!単純作業は減っていくと言われているよ。
でもIT人材は不足しているの。
2030年には79万人のIT人材が不足するといわれています。
このような背景も文部科学省や経済産業省がSTEAM教育を推進する目的のひとつと考えられます。
多様化している社会で問題を見つけ、解決し新しい価値を生み出す力が必要とされているのです。
新しい価値を生み出す…たとえばどういうこと?
簡単に説明すると暮らしのなかにある不便や
問題を見つけて解決するってことだよ!
簡単な例をあげると…
「冷蔵庫にあることを忘れて同じものを買ってしまい食材を余らせてしまった」
↓
「冷蔵庫にカメラをつけてスマートフォンに冷蔵庫内の情報を送ることが出来れば買いもの中に必要な食材が確認出来る!」
「冷蔵庫内にAIカメラをつけて良く使うものは必要な分だけ自動発注が出来るようにしよう!」
↓
【食品ロスが削減できる】
こんな風に課題を解決して新しいものを作りだしていく力だよ。
なるほど~!そのために色んな分野での知識が必要なんだね!
STEAM教育で身につく3つの力
STEAM教育で身につく主な能力は以下の3つです。
- 実社会の中で課題を見つける力
- 科学的に思考し課題を解決する力
- 新しい価値を創造する力
自分で考え学習(行動)し新しいものを作り出す力は、将来どんな職業についたとしても役に立つ能力です。
STEAM教育で将来必要とされる人材へ成長できることが期待できます。
STEAM教育を幼児から始めるメリット
STEAM教育を幼児から始めるメリットは3つの能力が育まれることです。
- 探求心
- 思考力
- 創造力
この3つの能力が育つと、自分で考え行動する力が養われます。
大人になってからも色々なことに好奇心をもち、チャレンジしていく力になります。
この力があれば将来仕事に就いた時だけではなく、好きなことや趣味を見つけた時にも活かされので、人生を豊かに歩んでいけるはずです。
探求心が育つ
STEAM教育を幼児から始める一番のメリットは探求心を育めることです。
探究心とは物事を掘り下げて調べ、深い知識を得ようとする気持ちのことです。
STEAM教育ではこの「探究心」が大切になります。
探究心があることが、ワクワクから学びを広げる原動力になるのです。
3歳から探究心が活発に
もっとも探究心が活発になる3歳から6歳までが探究心を伸ばしやすい時期です。
ちょうど「なぜなぜ期」の頃だね
STEAM教育を体験することで、「なぜ?」「こうしたらどうなる?」「どうして?」といった疑問を抱き「探究心」が培われます。
こういった疑問をSTEAM教育で行う実験遊びで実際にやってみたり、解決することで喜びや楽しさを感じさらに探究心が育まれます。
思考力が育つ
思考力とは「考える力」です。
何か問題を見つけたときにどうしたら良いかを考えられる力です。
STEAM教育の実験遊びの中で、実験が失敗した場合に「どうしてうまくいかなかったんだろう?」「次はこうしたらどうだろう」と考えて行動することで思考力が育まれます。
幼児期から思考力が育まれることで、これから始まる学校の学習でわからない問題があっても、「どうしたらできるだろう」と考えることができ、学習意欲が高まることが期待できます。
学習の面だけではなく思考力が身につくと、相手の気持ちを考えられるようになり思いやりの心も育ちます。
コミュニケーション力も育つんだね!
創造力が育つ
創造力とは「これまでにはない方法で新しい何かを作り出す力」です。
クリエイティブな力の方がピンとくるかも!
常識にとらわれない自由な発想ができる幼児期に、創造力を育てることが重要と言われています。
ラップの芯や空き箱などの廃材での工作遊びや、積み木やブロックなど工夫して自由に遊ぶことで創造力が育まれます。
子供が実験遊びをしていると、こちらは想像もしていなかった遊びに発展することがあります。
その体験も新しいものを作り出していると言えます。
学校教育で行うSTEAM教育の土台になる
文部科学省の推進するSTEAM教育では、高校で教科横断的な探求学習を重点的に取り組むべきとしています。
STEAM教育は,「社会に開かれた教育課程」の理念の下,産業界等と連携し,各教科等での学習を実社会での問題発⾒・解決に⽣かしていく⾼度な内容となるものであることから,⾼等学校における教科等横断的な学習の中で重点的に取り組むべきものであるが,その⼟台として,幼児期からのものづくり体験や科学的な体験の充実,⼩学校,中学校での各教科等や総合的な学習の時間における教科等横断的な学習や探究的な学習,プログラミング教育などの充実に努めることも重要である。
こちら(STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について(PDF:1706KB))
幼児期からSTEAM教育を取り入れることで、小・中・高校とこれからの学校教育で重要とされているSTEAM教育の土台になります。
STEAM教育の始め方を紹介!家庭での取り入れ方は?
STEAM教育がこれからの教育に重要なのはわかったけど、
どうやって始めたらいいの?
家で出来る取り入れ方を紹介するね
家庭でもできる幼児期に取り入れたいSTEAM教育を紹介します。
- 自然体験をする
- 廃材で工作してみる
- 一緒に料理を作る
- 知育玩具で遊ぶ
- 実験遊びをする
詳しく説明していきます。
自然体験をする
「葉っぱはどうして黄色くなるんだろう?」「砂に水をかけるとどうしてなくなっちゃうの?」と、自然の中で遊ぶと「なぜ?」「どうして?」のワクワクのタネがたくさん見つかります。
疑問に思ったことを家に帰ってから、本や図鑑で調べるようにすると自分で調べる癖がつきます。
砂場で遊んだり、花をつぶして作る色水遊びは五感も刺激される遊びですね。
自然の中にはScience(科学)の要素がたくさんあります。
廃材で工作してみる
空き箱やラップの芯などで、工作することはEngineering(工学)のモノづくりにつながります。
何をつくろうか、どうやってつくろうか、創造力がかきたてられます。
色を塗ったり、絵を描いてみたり装飾したりすることはArt(芸術)にもつながります。
一緒に料理を作る
料理には必要なものを揃えて、手順を考えながら行うので論理的思考が重要になります。
また混ぜる、沸騰させる、冷ます、固めるなど科学的要素もあります。
食材の重さに対する調味料の量などはMathematics(数学)につながりますね。
幼児の場合、難しい計算や火を使ったり出来ないことも多いですが、自分が混ぜた卵がフライパンの上で固まっていったり、スープの中でふわふわになる様は不思議で好奇心が刺激されます。
知育玩具で遊ぶ
積み木、ブロック等は指先を使って遊び脳を活性化させ思考力、創造力を育みます。
数や形、空間の奥深さを自然と知ることができます。
作りたいものが作れなかった時には、「どうして作れなかったのか」「どうしたら作れるのか」「次はこうしてみよう」といった問題解決能力も育まれます。
積み木やブロック等で遊ぶと空間認知能力が育ち、空間認知能力が高いと数学に強くなると言われています。
実験遊びをする
家にあるもので簡単に出来る実験もあります。
わが家が参考にしている本をご紹介します。
幼児には少し難しいものもありますが、楽しく取り組めそうなものを探して実験しています。
用意しなくてはいけないものもあるのが少しネックなところ
手軽に取り入れるなら通信教材を利用するのも◎
実験遊びを行うには、材料の準備や段取りが必要になります。
そういった時間がない方や手軽に実験遊びを体験してみたい方には、必要なものがセットになっている通信教材を試してみるのもおすすめです。
STEAM教育に特化している通信教材をご紹介します。
ワンダーボックス
ワンダーボックスは実験の他にもプログラミング、数理パズル、アートで思考力と創造力を育む現代の通信教育です。
4~10歳を対象にキット教材が毎月届き、アプリ教材は毎月更新されます。
必要なものが全部揃ってると助かるね!
トイ教材はアプリと連携してるのもおすすめポイント!
話題のSTEAM・プログラミング教育教材なら【ワンダーボックス】
Groovy Lab in a Box
本格的な実験を手軽に楽しみたい方には「Groovy Lab in a Box」がおすすめです。
「Groovy Lab in a Box」は世界最先端のSTEAM教材で、4~7歳対象の「ジュニアステミスト」と、8~12歳対象の「ステミスト」のセットから選べます。
「Groovy」では実際に手を動かしてリアルな体験をすることを重視しています。
英語でも楽しめる点が特徴的だよ
今話題のSTEM教育【Groovy Lab in a Box】
こどもちゃれんじ
こどもちゃれんじでは年中さんからオプション教材で「サイエンスプラス」「プログラミングプラス」が受講できます。
「サイエンスプラス」は2ヵ月に1回、「プログラミングプラス」は毎月教材が届きます。
既に受講中の方はオプション料金で受講でき、受講中でない方も通常料金で受講できます。
受講中の方は手軽に始められそうだね
受講中じゃない方も始めるきっかけになるかも!
わが家のSTEAM教育
STEAM教育を知ってからわが家で一番意識していることは、問いかけること、疑問を持ってもらうことです。
「なんで息は白いの?」と聞かれたら、「なんでかなぁ、息子くんはどう思う?」と聞き返すと「こう思う!」と意見を言ってくれます。
聞いてから「本で調べてみようか!」と調べる癖をつけられるようにしています。
普段の会話の中でも、「昨日は氷ができてなかったのに、今日は出来ているね。」と伝えると「なんでー?」と疑問をもつので違いを伝えることを意識しています。
息子は現在4歳ですが、簡単にできる実験遊びも楽しんでいます。
実験の結果「なぜこうなるのか」という仕組みや原理は、まだ完全に理解はしていませんが遊びとして楽しんでいます。
遊んでいる中で、「〇〇してみたい!」という希望があれば叶えるようにし、「なんでこうなるの?」と疑問があれば理解は難しくてもわかりやすく説明するようにしています。
普段の遊びとは違う実験遊びがとても楽しいようすで、遊んでいる時には普段はみられない集中力を発揮します。
実験が終わったあとも「次はどんな実験やろうかな!」と本をめくっているほど。
実験遊びは準備や片付けと少し手間がかかりますが、キラキラの笑顔で夢中になっている姿をみることができます。
「こうしたらどうだろう」「つぎはこうしてみよう」と取り組む姿は、これから成長して自分でワクワクを見つけたときの探求心の土台になると感じています。
STEAM教育を幼児から始めると未来を生きる力が育つ
STEAM教育とはScience(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(エンジニアリング)、Arts(アート)、Mathematics(マスマティクス)の教科の枠を越えた総合的な学びです。
STEAM教育では自ら課題を見つけ、それまでに得た知識で解決まで導き新しいものを作り出す力を身につけます。
自分で考え学習(行動)し新しいものを作り出す力は、将来どんな職業についたとしても役に立つ能力です。
課題発見・解決型の探求学習となるSTEAM教育は高度な教育ですが、幼児期から取り組むことでこれから始まる学校教育でのSTEAM教育の土台となります。
土台となること以外にもSTEAM教育を幼児期から取り組むメリットは、「探求心」「思考力」「創造力」が育まれることです。
これらの能力は大人になってからも、仕事や趣味にも活かされ豊かに暮らすために大切な能力です。
STEAM教育は特別なものがなくても、すぐに家庭で始めることができます。
家庭でも簡単に取り入れられ、未来を生きる力になるSTEAM教育。
ご家庭でも始めてみてはいかがでしょうか。